4年に一度行われる「世界野球 プレミア12」。野球の世界ランク上位12ヶ国が参加出来る特別な大会で、さらに今年は来年のオリンピックの予選も兼ねている大きな大会です。
しかし、国際大会出場による怪我のおそれ、また既に五輪への出場を決めている国や五輪野球にそもそも関心のない国は積極的ではなく、日本でも千賀や柳田、筒香、森などの超人気選手が相次いで欠場という盛り上がりの欠けた大会となってしまっています。
盛り上がりにかけているとはいえ、野球は野球。このサークル屈指の野球狂である私は、バイトのシフトが入っていないことをいいことに一気に二試合分チケットを入手してしまいました。全ては日本野球の勝利のために。まずはスーパーラウンド初戦、ZOZOマリンスタジアムでのオーストラリア戦です。
前回対戦のWBC一次ラウンド第二戦、ライトスタンドで観ていました。デサンミゲルの先制弾、制球の定まらない岡田を後押しする大声援、中田・筒香のアベック弾、千賀の快刀乱麻のピッチング。最高の試合でした。その日以来の豪州戦。気合いが入ります。
雨が降る中マリンに到着。代表ユニを買い、雨宿りをして入場。本降りの雨でしたが、試合開始一時間前には止みました。
試合開始前にお通し代わりの一品。三塁側内野席通路で売ってる「モツニンニク」です。
蓋を開けるとニンニクの香りが辺りに広がります。あ、もうこれ絶対美味いやつだ。
隣の友達とビールで乾杯。世界一美味い酒をクッと流し込んでから一口。美味い。ニンニクの風味が口いっぱいに広がる。濃いめの味付けで酒が進む。モツは柔らかく、タレがよーく染み込んでいます。茹でキャベツは甘く、濃い味だらけの味を上手く調整する役割を果たしています。300円でこれは球場メシとしてはいいんじゃないかな?
この試合はスーパーラウンド初戦。セレモニーが行われ、スタメン発表。ショートを守っていた坂本が外れ、源田がショート。ファーストは浅村で指名打者は吉田正尚。バッテリーは山口と小林の巨人バッテリー。前回はパッとしなかった山口、頼んだぞ。
初回、2回と山口は快調。オーストラリアは皆真っ直ぐしか狙ってなく、落とせば空振り、曲げれば空振り。2回投げて4奪三振と絶好調のように見えました。
一方の打線、相手先発のルジクにやられます。真っ直ぐとスライダーで上手く打たされ、走者を出してもなかなか点に繋げられない展開。
すると3回表、先頭のジョージに二塁打を打たれ、無死二塁のピンチ。二飛と投ゴロで二死三塁とし、バッターは1番のケネリー。二巡目です。ここも先程と同じように変化球で空振りを― そうは上手くはいきません。ケネリーは変化球を待っていました。5球目、山口の空振りを取りに行ったフォークをしぶとくセンター前に。三塁走者生還でオーストラリアが先制。
続く4回表、山口は簡単に二死を取りますが、5番ホワイトフィールドにヒットを打たれると、続くニルソンにライト戦に運ばれタイムリー二塁打。二死から簡単に失点してしまい、2点差としてしまいます。3回の失点は攻めた結果打たれての失点だったので仕方ないにしても、この失点は少し厳しい。球場に嫌なムードが漂います。
4回裏、2番の菊池、3番の近藤が倒れ二死。球場の空気はますます重くなります。打席には4番鈴木。とりあえず塁に出て打開点をと思う中初球、打った瞬間立ち上がる。完璧な弾丸ライナーがレフトスタンドに突き刺さりました。 3試合連続となる3号ホームラン!重い空気を切り裂く痛烈な一打で一点差とします。
5回のマウンドには田口。山口から田口巨人リレーです。二死からケネリーにヒットを打たれるも無失点で抑え、6回岸につなぎます。6表の岸は緩急を上手く使い、二死二塁のピンチを招くもしっかりと抑えます。
その裏、日本の先頭は5回裏に代打で替わった會澤。源田の牽制死によって打席が完了しなかったためこの回先頭での出場となりましたが、4球目を捉えてレフト前へ。先頭打者として最高の仕事を果たすと、続く不振の1番丸が送って一死二塁。一打同点の好機を作ります。
ここでバッターは2番菊池。しかし右飛に倒れて二死。3番近藤は四球で4番鈴木。ここまで絶好調。打率は5割に迫る勢いで、現在世界一調子のいい日本の4番が打席に立ちます。スタンドからは大歓声。ここで一本打って、追いついて、勢いをつけて欲しい。そんな祈りを声に込めて、ライトスタンドからファンが声援を送ります。しかし二球目、詰まった当たりがサード前へ。難なく捌かれてサードゴロ。大きなチャンスでしたが、生かせませんでした。
7回表も岸が続投。山口の調子から考えるに、土曜日の韓国戦での先発を見据えた調整登板のようです。この回、岸はわずか8球でシャットアウト。ここから、この試合最大のハイライトが始まります。
7回裏、先頭は吉田正尚。吉田もプレミアは不調。代名詞とも言えるフルスイングからは快音がまだ聞こえていません。オリックスを代表するホームランアーチストの一発に期待し、ライトスタンドからは吉田専用チャンステーマが。国を背負い、全身全霊を懸けた一打を。4球目、低めのボール球をすくい上げ、センター前に。ホームランではないものの、今季首位打者を争ったバッティングコントロールで出塁。
そしてここで代走 周東佑京。今季支配下登録されると、異次元のスピードでグランドを掻き回し、支配下一年目にも関わらず「脚のスペシャリスト」として侍に選出された、鷹のスピードソルジャー。周東が一塁へ向かうと、球場全体から大歓声が。日本の誰もが周東の盗塁に期待し、豪州戦の誰もが周東の盗塁を警戒しています。
バッターは5番浅村。ここから起きる出来事は、皆さんご存知の通り。関連動画を貼りますので、是非ご覧下さい。
2019 プレミア12 侍ジャパン 周東, 源田壮亮 11/11 vsオーストラリア 同点セーフティバント
いつ見ても惚れるこの盗塁。余裕の盗塁で一死二塁。続く松田倒れて二死二塁で源田。ここからがこの試合一番のハイライト。
初球、2球目と投げてカウント1-1。そして3球目、周東はスタートを切りました。キャッチャーデサンミゲルが慌てて投げるも間に合わず、三盗成功で二死三塁。
続く4球目。
三盗で動揺している隙を突いたセーフティスクイズ。投手前に転がるも周東の高い走塁技術で生還。日本らしい「スモールベースボール」、というより「周東佑京」で7回裏、同点に追いつきました。
続く8回表は甲斐野が登板。東洋大学からドラフト一位で入団すると即勝ちパターンに起用され、ルーキーながら侍に選出されたセットアッパー。最速156kmの真っ直ぐとフォークで三者凡退に抑えます。
そして8回裏、翌日朝からティッシュを配らなければならない私からしたら、この回で点を取って早く帰りたいところ。なんとか点を取ってくれ…という願いも叶わずわずか二球で二死になってしまいます。
延長を覚悟した中、3番近藤がインコースの真っ直ぐをレフト前へ。処理に手間取っている間に二塁を陥れ二死二塁のチャンス。続くバッターは鈴木誠也。点をやれないオーストラリアはもちろん申告敬遠。二死一二塁となってバッターは5番、周東に代って山田。過去3度のトリプルスリーを達成したミスタートリプルスリー。また今季ダントツの四球王でもあり、ボールを見極める力もあります。山田の一打に期待する中、しっかりと四球を選び満塁に。さすがテク人。
二死満塁という絶好のチャンスで打席には浅村。CS絶好調だった男に期待が寄せられ、この日一番の声援が送られます。初球、低めへのチェンジアップが外れる。2球目、真っ直ぐがアウトハイに外れる。2-0。3球目、同じコースに外れる。アウェーでこの状況、平然と投げられる投手はそうはいません。間違いなく凄いプレッシャーでしょう。そして遂に追い込まれた。もうボール球は投げられない。4球目、浅村は打つ気なし。ケネディの投げた球は真ん中高めに。しかし審判の腕は上がらない。ボール。押し出しで、日本は待望の勝ち越し点を取りました。1安打、四球3つ。実力で奪い取った、とは言えませんが、大きな大きな一点を、8回裏、加えました。
9回表、ゾンビネーションに合わせ、日本の守護神、山崎康晃がマウンドに立ちます。ここまで来たらもう安心。
4番ウェイド。直球で押して三振。
5番ホワイトフィールド。初球のツーシームを引っかけ三ゴロ。
6番ニルソン。4球目のツーシームを空振って三振。
簡単に三人で抑えて試合終了。大事なスーパーラウンドの初戦を、日本は危なげなくも勝ち取ることが出来ました。
勝ち投手は甲斐野、負け投手はケネディ、セーブは山崎に付きました。
中盤までどうなるかと思いましたが、無事勝ててなにより。翌日は東京ドームでアメリカ戦。世界一奪取へ、負けられない戦いが続きます。今日みたいな試合ではなく、しっかりと打って打って打ちまくって勝てるよう、応援を続けていきます。
試合前に買ったユニフォーム、ロッテ・阪神から侍への選出がなかったので悩みましたが、同い年で日の丸を背負った山本由伸にしました。この日は登板がありませんでしたが、今後、セットアッパーとして快投を見せてくれることを期待してます。
鍛え上げられた躰 そのハートも熱い 王者の道掴むぞ 魅せろ山本