BBBB(ベーコンの暴飲暴食ブログ)

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M6-1F ~Thank9 幕張の安打製造機~

    1993年11月20日、この年のドラフト会議が開かれました。この年のドラフトでは、後に横浜の日本一に貢献した波留敏夫や河原隆一、暗黒阪神のエース、藪恵壹、長年日本ハムを支えた金子誠、そして日米で活躍した松井和夫(稼頭央)、岡島秀樹、元日本代表監督の小久保裕紀が指名され、プロの道へと進みました。

 

    この年のドラフト選手は、一人を除き皆引退してしまいました。しかし、一人だけ、現役を続けている選手がいます。それが、千葉ロッテマリーンズ7位指名の福浦和也です。

 

    投手として入団後、内野手へと転向。打撃で頭角を現すと、2001年には首位打者を獲得。2005年には3番一塁に固定され、日本一に貢献。2010年CS1stステージでは西武との熱戦の末、延長11回表に決勝勝ち越しソロを打ち、「史上最大の下克上」に大きく貢献した。そして2018年9月22日、西武小川からライトオーバーの二塁打を放ち、NPB通算2000本安打を達成。「幕張の安打製造機」が偉業を成し遂げた瞬間でした。

 

 

    記憶にも記録にも残るロッテのレジェンド。今季、遂に26年の現役生活に終止符を打ちます。2019年9月23日、福浦の引退試合です。

 

 

 

 

    中学の同級生と待ち合わせて海浜幕張駅へ。海浜幕張駅福浦和也一色でした。
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    習志野高校出身、千葉県フランチャイズプレーヤーの福浦。彼がどれほど愛されていたかが感じられます。

 


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    試合開始一時間半前に着けば間に合うかと思っていましたが、入口の列はすんごいことになってました。さらにこの日は台風の影響猛烈な風が吹き荒れます。死にそうになりながらゲートに着き、レフト側の席に着く頃にはスタメン発表が始まっていました。
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    位置的にバックスクリーンは撮れなかったのでここで。主役は7番指名打者。最後に武器のバットで魅せて欲しい、そう思いながら試合を見守ります。

 

    試合は初回から動きました。表を完璧に石川が抑えると、その裏、荻野がセンター前、パスボールで進塁すると、続く鈴木大地レフトへ二塁打を打ち先制。続くマーティンが死球で出塁すると、4番の井上がレフトへタイムリ、5番清田もライトへタイムリ。バックスクリーン裏の売店「サンマリン」で並んでる間に3点を先制します。

    席に戻って6番中村の打席。いい当たりでしたがレフトフライで一死。ここで福浦、今日最初の打席です。大歓声に包まれ、ロッテファンの大きなコールの中、5球目。打球はショートの正面へ。第一打席はショートゴロでした。

 

    続く二回、先頭は藤岡。二球目を綺麗にセンター前に弾き返します。続く荻野が送り、大地二ゴロマーティン四球で二死一・三塁。ここでバッター井上。夏場あたりから調子を上げてきた期待のデブ大砲がこの打席も見せます。レフト線へのタイムリーヒット。福浦の引退に花を添えるべく、打線が奮起します。

 

    三回裏、先頭は福浦。4球目のストレートを打ち返しますが、打球は不運にもピッチャー西村のグローブの中。惜しい当たりでしたがピッチャーゴロに倒れます。

    続く田村が四球で出塁。藤岡三振で二死となるも、荻野が二塁打で二・三塁とします。

    引退試合へのプレッシャーか、なんか今日の日ハム、清水はパッとしません。二番大地への3球目、ショートバウンドした球を清水が後逸。その間に藤岡がホームインして5点目。流れは完全にロッテに。

 

 

    ロッテの先発石川は、序盤から絶好調。ランナーを出すも打たせてとるピッチングでスコアボードに0を刻み続けます。いいぞヒゲ

 

 

 

    6回裏、先頭の中村がレフト前で出塁。さあ、福浦の三打席目です。すると、ライトスタンドからは「レッツゴー習志野」が。今年のセンバツ準優勝校、習志野高校オリジナルの応援曲で、OBの福浦を盛り立てます。そんな中での三打席目、5球目を振り抜きました。弾道は低いながらもライナーがライト方向へ。スタンドからは歓声が上がりましたが打球は失速しライト大田のグローブの中へ。風が無ければもう少し伸びてたかな?この日の風は最大で風速16m。経験したことの無い風がマリンに吹き荒れます。みんな野球しづらそう…

 

    後続田村が倒れて二死二塁となりましたが、続く藤岡がレフトへタイムリーを放ち6点目。試合を決定づけます。さらに荻野、大地が繋いで二死満塁としますが、マーティン倒れて1点止まり。とても盛り上がったイニングでした。

 

 

 

    7回表、日ハムの先頭はこちらも今季限りでの表明している田中賢介、数少ない東京日ハム戦士です。初球を捉えてライトへ二塁打を放つと、球場全体から大きな拍手が。日ハムのレジェンドの勇姿を、敵味方問わず讃え見送ります。

    続く清宮が大きなセンターフライを放ち、田中はタッチアップ、一死三塁とします。ここでバッター石井一成。2球目をレフトへ弾きタイムリーヒット。ここまで苦しめられていたヒゲ石川から一点を取ります。しかし後続続かずこの回は一点のみ。石川は7回投げて1失点の好投でした。

 

 

 

    7回裏、ロッテの先頭は福浦。この時点で5点差。打順的にこれが最終打席になります。幕張の安打製造機の最後の打席。見逃すな。

 ZOZOマリンスタジアムのロッテファン、俺らが叫ぶ。声援を受け、福浦が打席に立つ。打て福浦。勝利を掴む一打を、不屈の闘志を見せてくれ。マリンに轟く福浦コール。そして2球目、外角へのスライダーにタイミングが合わない。高く打ち上がった打球。風に流される。清宮と宇佐見が見合う。しかし最後は宇佐見のミットに収まりました。最終打席はキャッチャーフライ。福浦の通算7955打席目でした。

 

 

    7,8回は大きく動かず、9回表。4番井上に代わってピッチャー益田が入ります。これが何を意味するか。

 

    指名打者制度のあるパ・リーグでは、投手は打席に入りません。投手が打席に立たない代わり、打撃の得意な選手に打ってもらう、という制度です。しかし、ここで益田が打順に入ると、指名打者は打つことが出来なくなります。10人打つことはできませんから。投手を打順に入れ、指名打者を解除することを「DH解除」と一般に言われます。

    今回の場合、益田は4番井上に代わって入ります。井上は4番ファーストとして出場していました。となると、ファーストを守る選手がいなくなってしまいます。そこで、指名打者として出場していた福浦にファーストを守ってもらうと、綺麗に成り立ちます。

    つまり、福浦が、現役最後の守備につくことになります。
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    かつてゴールデングラブ賞を3度も受賞した過去のある福浦。最後の守備に、ファンの期待は高まります。

 

 

 

    しかし投手益田は絶好調。先頭の清宮を三振に打ち取り、続く石井にセンター前を許すも宇佐見も三振に打ち取ります。あれ?守備機会は?

 

    バッターは1番平沼。初球を投げる前、一球牽制を挟みます。守備機会は無いかもしれない。そんな中での益田の気遣いでした。この牽制にマリンは沸きました。初球はボールで2球目、平沼は外角のストレートを強振。鋭い当たりが一二塁間を―

 

 

 

 

 

 抜けない。

 

   

    ボールは飛び込んだ福浦のミットの中。最後の最後に大ファインプレーが飛び出し、自らの引退試合を美しく締めくくりました。

 

    スタンドからは大きな福浦コール。美技を見せた主役を、大歓声で讃えます。
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    結果はM6-1Fで快勝。また、この勝利によりCS進出へ向けてまた前進しました。明日勝てば、CS進出の可能性がとても高くなります。非常に大きな一勝でした。

 

 

 

    この試合が今季マリンでの最終戦だった日ハム、選手がレフトスタンドへ挨拶に来ました。
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    その後、引退する田中賢介へ花束の贈呈が。渡したのは過去チームメイトだった岡とレアード。彼らの人の良さ、そして田中がどれほど好かれていたかが感じられる一瞬でした。

 

    その後、レフトスタンドから田中の応援歌が流れると、ライトスタンドのロッテファンも一緒に歌い始めました。2006年日ハム日本一に貢献したメンバー、そしてメジャーも経験した。彼もまたレジェンド。その功績を、その場にいるプロ野球ファン全員が讃えます。

 

 

 

    そして、一塁側ベンチから選手が出てきました。勝利後恒例の「We are」です。拡声器を手にしているのは、福浦です。


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    そして、今日はベンチ入り選手全員が出てきました。最高の試合に勝利した喜びを、選手とファンで分かち合います。

    今日の主役の掛け声で、マリンが一体となります。皆肩を組み、全員で飛び跳ねる。福浦の一軍最初で最後のWe areで、選手とファンが一つになりました。

 

 

 

 We areの後、福浦の引退セレモニーが行われました。終始目を閉じていた福浦。やはり26年という長い現役生活を振り返り、こみ上げてくるものがあったのかと思いました。実際は強風のせいで目を開けていられなかったそうです。

 

 そして、懐かしい人たちからのビデオメッセージが流れ、場内一周。ライトスタンドからは大きな福浦コール。コールに包まれながら、ゆっくりとグランドを歩きます。

 

 

 福浦がレフトスタンドのホーム応援席前を通ると、一斉に紙吹雪が舞い始めました。応援団と有志の人が前日に用意してくださったものです。高く投げられた紙吹雪は、海から吹きこむ強風に乗り、グランドに広がります。
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    マリンに舞う白い紙吹雪。とても幻想的な光景でした。白い紙吹雪の中を、背番号9が歩いていく。そして、スタンドのファンは歌う。

 

 

    俺達の福浦 一打に全て込めて 不屈の闘志を見せてくれ 千葉の誇り胸に

 

 

    千葉で生まれ、千葉で育ち、千葉と共に歩んだ26年。その道中で打ち立てた記録、刻み込まれた記憶は、今後も忘れられることは無い。

 

 

    本当に、夢を、希望を、その勇姿を、見せてくれてありがとう。

 

    そして、これからも、千葉をよろしくお願いします。

 

 THANK9 FUKUURA
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