台風19号が去り、翌日は台風一過で暑くなったものの、そこからは一気に秋の装いに。夜は一気に冷え込む日が増えてきました。
寒くなると温かいものが食べたくなります。とりわけ味噌ラーメン欲が高まります。そこでバッセンのおっちゃんと向かったのは、国領にある「熊王」。
ラーメンWalker2020のp60にも載っている、国領で50年近くやっている老舗。昔ながらの王道ラーメンながらとても美味しいと評判で、昔から行列が出来る店として有名です。
メニューはしょうゆ、しお、みその3種類。大盛りは¥150、様々なトッピングもありますが、チャーシューが1枚単位(1枚¥100)で増やせるのはいいサービスですね。
着丼。並盛だとみそが¥700、しょうゆが¥650。お手軽価格なのもいいですね。
…映え?そんなのより味が大事。
一つ驚くのはチャーシューのでかさ。大盛りの器も洗面器と呼んでいいくらいの大きなものなんですが、それの1/4を占めようかという大きなチャーシュー。みそにはデフォで入っていないので、増して良かったなと思いました。
さあ、スープを一口。美味い。動物系ダシを感じます。あまり味噌ラーメンでしっかりとダシを感じたことはないのですが、ここではしっかりと感じることができました。鶏と豚骨のスープのようです。私は鶏しか感じられなかった…結構化調がしっかり効いているので、好かない人は好かないかな…?でも昔ながらのラーメンは化調が効いててなんぼと思うところがあるので、特になんとも思いません。
味噌は自家製だそうです。ラーメンWalkerによると、11種の素材で作られているようで、50年前に店主が開発したものだそうです(KADOKAWA,2019,p60)。とても濃厚というわけではないですが、コクがあり、しかしスルッと飲めてしまう美味しいスープ。Umamiも十分、最後に回し入れられたラー油の風味、辛味も効いてて美味いです。
麺は味噌ラーメンにしては珍しい細ストレート麺。しかもやわめ。しょうゆと同じ麺のようです。果たして合うのかと思っていましたが、これがよく合います。ぐにゅっとした食感とキレのある味噌スープの相性がとてもいい。個人的にはもう少し固めのがもっと楽しめたかなという感じでしたが、デフォでも十分美味い。
具は炒められたモヤシ、タマネギ、キクラゲ。甘みが出てていい感じ。
そして増したチャーシュー。パサ目、味付けも昔ながらの少し醤油味のするものでした。しかしこのサイズ。夢がある。スープに浸してあたためてから食べましたが、パサ度等を考えても、この大きな肉塊に喰らいつく、という喜び、肉、そして脂身のUmamiが合わさると幸せという感情しか出てきません。男の子なら、幼い頃家族で町の中華屋さんでラーメンを頼んでチャーシューを食べてチャーシュー大好きっ子になった過去を誰しも持っているはず。その童心に返ることが出来る、そんなチャーシューです。¥200でこの大きさ。増すしかない。
卓上には、白胡椒、七味、ラー油、酢がありましたが、使わず完食。昔懐かしい、とても美味しいみそラーメンでした。
みそが人気の高いメニューですが、しょうゆの評価もかなり高いので、次回はそれを食べてみたいです。近いうち、またおっちゃんに提言してみます。
ごっちゃんした!
【雑談】
ラーメンを食べているとき、隣に女の人が座りました。黒髪清楚、という言葉のまんまな感じの人で、しかもかわいい感じの人でした。最初は「かわいい人だなあ」としか思っていませんでした。
熊王、「しょうゆ」を頼むとニンニクの有無を聞かれます。このニンニク、しょうゆを食べるに当たって結構いい味出すようなのですが、やはりスメル的な所を考えると控えるお客さんもちらほら。
しかし隣のお姉さん、「ニンニク入れますか?」に「お願いします」と即答。おお、やるやん。
そしてお姉さんのラーメンが着丼有料トッピングでメンマを加えていました。丁寧に「いただきます」とお辞儀をしてからラーメンをすする―その動作が美しかった。
箸で麺をリフトし、息で少し冷ましてから左手で髪がかからないようにかき上げ、そして麺をひと思いにすする。この一連の動作が、私からしてとても美しく見えました。まるで一目惚れのように、胸がドキッとしました。
なんのこっちゃと思う人がいるかもしれません。何夜それ気持ち悪とか思う人もいると思います。でも、お行儀のいい人っていいイメージを持ちませんか?とってもお行儀のいい綺麗なお姉さんが隣でラーメンを食べている。洗練された動きで麺をすすっている。その光景に一種の感動のような物を覚えました。
とっても美しくラーメンを食べるその人のことが気になりましたが、一番に考えるべきは目の前の麺を食べること。Umamiを感じること。人生を感じること。途中から目の前の麺にのみ集中してお姉さんのことを考えることは退店までなかったのですが、あの動作の美しさはたぶんしばらくは忘れません。そんな小さな感動を覚えた午後10時過ぎでした。
[ 参考文献]